喫煙者は非喫煙者に比べて歯周病にかかりやすく、また重症化しやすいことがわかっています。さらに、歯周病の治療効果が低く、治療後の傷も治りにくい傾向があります。
タバコには、健康に大きな影響を与える三大有害物質である「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」が含まれています。
ニコチン
・血管を収縮させる作用があり、血行が悪くなります。
・その結果、歯ぐきが炎症を起こしても出血や腫れが目立ちにくくなり、歯周病の発見が遅れることがあります。
・また、体の傷を治そうとする細胞の働きを抑制するため、治療を始めても歯ぐきの回復が遅れ、手術後の治癒も遅くなります。
タール
・いわゆる「ヤニ」のことで、多量の発がん性物質を含んでいます。
・タールは粒子状であるため歯に付着しやすく、その結果、歯の表面がザラザラになります。
・ザラザラした歯はツルツルした歯よりもプラーク(歯垢)が付着しやすいため、むし歯や歯周病、口臭のリスクが高まります。
一酸化炭素
・血液中の酸素運搬を妨げるため、ヘモグロビン濃度が低下します。
・これにより口腔内が貧血状態となり、歯ぐきが黒ずむ原因となります。
これらの影響に加えて、喫煙によってビタミンCが破壊されるため、歯ぐきを構成するコラーゲンが十分に作られなくなることもわかっています。
加熱式タバコなら大丈夫?
加熱式タバコは紙巻きタバコよりも「タール」や「一酸化炭素」の量が減少しているため、健康への害が軽減されるとされています。
しかし、「ニコチン」は依然として含まれており、有害物質が完全に排除されるわけではありません。
受動喫煙のリスク
喫煙で特に怖い点は、タバコを吸っている本人だけでなく、受動喫煙によって周囲の人々にも悪影響を及ぼすことです。喫煙者が吸う「主流煙」よりも、タバコの先から出る「副流煙」の方に多くの有害物質が含まれています
受動喫煙による影響は、大人だけでなく子供にも及びます。これにより、むし歯のリスクが高まるほか、歯ぐきにメラニン色素が沈着する可能性があることがわかっています。
喫煙は、自身だけでなく周囲の非喫煙者の口腔内にも影響が出る可能性があることを知っておきましょう。